2011年10月4日火曜日

脳を鍛えるには運動しかない!


2011年9月17日(土)、あさかホスピタルで開催されましたレイティ博士の講演に参加してまいりました。

レイティ博士は、医学博士であり、医学部臨床精神医学準教授として、ハーバード大学で10年以上にわたり教鞭を執っていらっしゃいます。

「脳を鍛えるには運動しかない」(NHK出版)は、博士の著書のタイトルです。

われわれは、漠然とした感覚、あるいは自分たちの経験的観測で、なんとなく「運動は頭にいい」ということをすでに知っています。ましてや子どもなら、その効果も顕著に期待できますから、多くの教育現場において運動が積極的に取り入れられていることは言うまでもないことです。

レイティ博士は、数多くの実験データから、その事実を科学的に実証なさっています。すなわち、やっぱり「運動は頭によかった」んだ、ということです。

私は、不勉強なことに、今回あさかホスピタルの方からお声を掛けていただくまで、レイティ博士のことは全く存知申し上げませんでしたし、あさかホスピタルの院長先生がお考えになっていらっしゃることも分からなかったと思います。今回の機会に感謝したいと思います。

さて、詳細な実証研究の数々については、博士の著書を各自ご覧になっていただくとして、レイティ博士は、毎日20~30分の有酸素運動が、脳の前頭前野に大きな良い影響を与え、「記憶する」、「認知する」、「集中する」、「作業を効率よく行うために学習する」、「評価する」、「発明・造形する」そして「感情を豊かにする」などの力を引き出すということです。

また、行動に問題のある子どものケースでも良い効果が認められ、「意欲が高まる」、「自我機能が高まる」などの結果が現れたということです。

そして、今回の原発事故により、子どもたちの屋外活動が制限されていることについて、潜在的な問題行動について危惧していらっしゃいました。

幸いなことに、ワイズの子どもたちは、エアートラックがあるおかげで、レイティ博士がおっしゃるところの30分の有酸素運動を実践することが可能な環境にあります。

YPKについては、毎日30分のPE(体育)の時間が設定されております。子どもたちは、エアートラック活動(先生の監督の下、自由に跳ぶ時間と、先生の指導による運動をする時間に分かれています)に加えて、今は運動会に向けたお遊戯のお稽古に取り組んでおります。午後から通学してくるアフタースクールYISやASPの学童さんたちは、その日の課業終了後の5時30分より、毎日6時頃までエアートラックを行っています。

ただ、いずれも午後の活動で実施いたしていますので、「朝」という時間にこだわるとするならば、さっそくYPKについては、朝のフリープレイタイムを利用して、朝のエアートラックの時間を設定したいなと考えております。

また、アルゴ幼稚舎保育園においては、「運動能力の育成」はその教育理念の3本柱の一つであることから、積極的にレイティ博士の研究に学んで、幼児にとって最も効果的な運動の方法を模索していきたいと思いました。



そして、週末の一般開放でいらっしゃる郡山市民の皆さまについてですが、一人でも多くの市民の皆さまに「まなそびプレックス」の存在を知っていただき、エアートラックを親子一緒に楽しんでいただき、汗を流してほしいなと願っています。

2011年9月11日日曜日

震災から半年を迎えて


平成23年3月11日のあの大震災から、今日でちょうど半年が経過しました。皆さま、それぞれの思いで今日のこの日を迎えていらっしゃると思います。

あの日以来、二度と会えなくなってしまった人、遠くへ行ってしまった子どもたちがおります。彼らのことを思うと、まるで時間が止まってしまったかのような感覚を覚えます。とても残念なことですが、仕方のないことです。

しかし、この半年間、私たちを取り巻く環境は、日々刻々めまぐるしいほどに変化しております。しかもそれは、いまだに現在進行形の状況です。

私たちは震災後、この郡山市で、復興のために全力でお仕事をなさっている保護者様が一人でも私たちを必要とする限り、どんなことが起こっても全身全霊を尽くして大切なお子さまをお預かり申し上げようと心に誓って、保育・教育に取り組んで参りました。

そしてこれからも、状況の変化に敏感に対応しながら、お子さまの安全を何より優先して、最善を尽くして参ります。

震災から半年が経過した今、とても感じていることは、子どもたちが室内でもしっかり体を動かせる環境をきちんと整備する必要性です。ご存知の通り、震災後放射線の影響により、子どもたちの屋外活動は極端に制限されております。

施設「まなそびプレックス」は、寒い冬場や雨の日でも関係なく子どもが運動できるようにと考え、エアートラックやサイバーホイールのような遊具を設置し、2009年7月にオープンしました。週末は一般の皆さまに施設を開放し、親子で楽しくご利用いただいております。

震災後ご利用者数は倍増している状況で、毎週必ず新規のお客様がいらっしゃいますので、ますますご利用のニーズが高まっているのを感じております。

ワイズプリスクールアンドキンダーガーテン(YPK)は2学期に入り、入園の問い合わせや見学者が急に増加し、何名かの新しいお友だちもお迎えいたしております。また、YISとその他の学童保育の部門でも、やはり体を動かせる広さや設備があることはとても重視されていると感じます。

それは、震災後4月に開園したアルゴ幼稚舎保育園でも同様であると思います。先週から未就園児クラス「ばおばぶの木」が開講しましたが、初回ながら7組の親子にご参加いただきました。少人数制、十分な室内の活動面積、九州産食材にこだわった給食など、保護者の皆さまにもご共感いただけたことと思います。

ただ、間違えてはいけないことは、屋内運動設備で体を動かすだけでは十分ではないということです。体を使うのと同じくらい頭を使うことが重要であり、子どもの成長には双方のバランスが必要不可欠であるということです。

「まなそびプレックス」には、エアートラックのかたわらにあれだけ多くのパズルやブロックが準備されているのはそのことですし、当園に通う幼児・小学生の皆さんが楽しんでいるちのうあそびやさんすうパズルも、YPKの「ユニット」やアルゴの「プロジェクト」もそういうことです。

今、福島は世界中から注目されています。「可哀そうに」という同情の眼差しもありますが、「いかに復興をとげるのか」という期待の眼差しも確かに受けていると思います。

福島はこの先、どのような未来を築いていくのか、それは今ここにいるこの子どもたちの両肩にかかっていると思います。私たちは、逆境をバネに、強く伸びる逞しさを子どもたちに期待します。その強さと優しさで、自分たちの未来を自分たちの手で切り開いていける人間になってほしいと望んでいます。

そして、私たち大人は、そのような子どもたちのために、いったい何ができるであろう、いや何をしなくてはいけないのだろう…とあらためて心に問いかけています。私たちが子どもたちのためにできること、これからも日々模索を続けたいと思います。